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「いろんな農家が活躍している場所」
齋藤伸哉さん・冬美子さん(移住歴6カ月)の移住の決め手

家族構成(移住当時)

齋藤伸哉さん(36)
齋藤冬美子さん(26)
移住歴:6カ月(2022年~)
移住エリア:東京都板橋区→三芳エリア

未経験者が新規就農を果たすためには、農の学校へ通ったり研修生として農家の仕事を手伝いながら学んだりと、いくつかの方法があります。農業研修生としての新しい暮らしと移住を南房総市三芳エリアで同時にスタートさせた、齋藤伸哉(さいとうしんや)さん・冬美子(ふみこ)さんご夫妻に話をうかがいました。

小さな一歩から、とんとん拍子に話が進んだ

東京で生まれ育った伸哉さんはサラリーマンとして働いていましたが、自然に関することを仕事にしたいと思い、農業が頭に浮かんでいたそうです。付き合いだした当初からそのことを知っていた冬美子さんは、「東京での同じような毎日が無駄だと思った。今、若いうちに挑戦した方がいいと思った」と、当時を振り返ります。

2021年6月、東京国際フォーラムで開催された「新・農業人フェア農業EXPO」に、二人で訪れてみることにしました。

「千葉のブースを見て、三芳で有機農業が盛んだという話を聞いて、帰宅後ネットで調べてみるとやぎ農園さんに辿り着きました」と話す伸哉さん。

「市に相談してみようと、11月に農林水産課にアポを取って南房総市を訪れました。そうしたら、八木さんにも会えるよと言われて、直接八木さんに会って話を聞けたんです」

冬美子さんに、南房総市の対応について尋ねてみると、「積極的で良かったです。今すぐに移住するとは決めてなかったけど、八木さんに会いに行こうとか、研修生が住める市の施設もすぐに案内してくれて、必要な書類をリストアップしてくれました」

「南房総市新規就農者支援事業補助金」の申請や、「南房総市三芳新規就農支援施設」への入居がスムーズにいくように市担当者がサポートし、2022年4月、齋藤さん夫妻は南房総市へ移住。同時に、やぎ農園での研修生として働き始めることになりました。

【八木さん指導のもと、緑米の収穫作業に励む齋藤さん夫妻】

自給しながら、日々の暮らしを大切に

全く未経験だった農業の世界へ飛び込んだ二人ですが、イメージしていた暮らしとのギャップはなかったのでしょうか?

「八木さんのホームページで、大きな機械を使わずに手仕事で行うやり方を見ていたので、ギャップはなかった」と話す伸哉さん。

冬美子さんは「始まりが田植えからで、身体が慣れなくてしんどかった。中腰で仕事をすることが今までなくて、ここでは基本中腰で、苗箱を運ぶのとか、田んぼを歩くのも初めてで。でも今は大分慣れました」と言います。

【今では稲刈り機も使いこなせるようになった冬美子さん】

田植えから稲刈りまでを経験した伸哉さんは「毎日田んぼの様子を見て、成長を見るのが楽しみでした。ここには虫も鳥もいる。(田んぼ的には)悪い点でもあるけど、自然のなかで作物を作れるのがいい。循環していることが理にかなっているのを納得しながら経験できる」と有機農業の魅力を語りました。

二年後、研修を終えた二人が目指すのは、「自分たちの暮らしと自然環境を大切に守ることができる農園」だそうです。「自給しつつ、換金作物でお金を得て暮らしを大切にしていきたい。一番は自分たちの暮らしで、そこから発展して輪が広がっていけば」と冬美子さんは言います。

ペーパードライバーだった二人は、移住してから軽トラを購入。休みの日は山間部の三芳エリアを飛び出して、海辺へとドライブに出かけるそうです。

「海で、軽トラの屋根に乗って眺める景色はすごいきれいです」と話す冬美子さんは、運転に慣れて楽しくなってきたので、今では率先して運転しているのだとか。

東京と南房総の暮らしの違い

東京でのサラリーマン暮らしと、南房総での農的暮らしの違いを探るべく、一日の予定を伸哉さんに聞いてみました。南房総での生活は季節や農繁期、農閑期により終了時間が変化するそうです。夏は6時起床、21時就寝で、東京での6時起床、22時就寝と大きな変化は見られませんが、自宅から職場までが車で7分ほどの距離なので、通勤時間が大きく短縮され、昼休みも帰宅してご飯を食べています。「4月5月は帰宅してから何もできず、疲れて7時半に寝ていたりしました」と冬美子さん。

「東京にいたときは、決められたルートを通った生き方をすり込まれていました。農園の手伝いに来てくれるパートナーの人たちと一緒に作業をしていると、今までがんじがらめにされていたものが解けていく感じで、会社員でなくても生きていけるんだ!って知りました」

やぎ農園では農作業を一緒に行い、収穫した米や野菜などでお返しをするパートナー制度を導入していて、農に興味のある人たちが多く参加しています。ともに体を動かし、交流しながら作業に参加できるこの取り組みは、研修生の二人にとっても大きな魅力であり、そこでの出会いからも影響を受けているようです。

伸哉さんにこちらの暮らしについて聞くと、「自然の景観がいい。東京で窓を開けてもマンションや家、人が見えるだけ。こっちは田んぼがあり山があり。動物もいますし、性に合っている」と話します。

 

農業研修の様子Instagram
やぎ農園
一般社団法人南房総農業支援センター
南房総市新規就農者支援事業
南房総市三芳新規就農支援施設

 

移住検討者へアドバイス

「心配しなくても、来ちゃえば慣れる!」

「決意してこっちに来たら、職に縛られない人、価値観の違う人たちがいて、その環境のなかで自分がこれをやりたいっていうのを実行しやすい。移住者が多いから変な目で見られないし、応援してくれる人が多くて溶け込めるのも早いです。こちらでは地域の活動に出ないといけないけど、出るのが楽しいんです。年長者の人たちは何でも知っていて何でもできるから、自分で小屋を建てた人の話とか聞けて楽しいですよ」 (本記事の内容は2022年取材当時のものです。)

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