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TOMIURA Espresso 水山さん

TOMIURA Espresso 

TOMIURA Espresso
・住所:千葉県南房総市富浦町深名294-1
・電話:090-6236-0444
・Web:https://www.instagram.com/tomiura_espresso/
・営業日時:金・土・日 10:00〜16:00
※イベント出店や天候、季節により営業時間が変更となる場合があります。
※最新情報はInstagramをご確認ください。

夢の実現をサポートし、オセアニアコーヒー文化を伝えるテイクアウトカフェ

原岡桟橋や道の駅とみうら枇杷倶楽部、大房岬自然公園など、見どころが多い富浦地区。富津館山道路富浦ICから車で約3分の場所にあるのが、テイクアウト専門のカフェ、「TOMIURA Espresso(とみうらえすぷれっそ)」です。

2025年3月に家族5人で移住し、4月にテイクアウトカフェをオープンさせた、水山さんにお話を伺いました。

◆ご出身とこれまでの経緯を教えてください

生まれ育ったのは大阪ですが、中学からオーストラリアに留学し、高校・大学を卒業しました。その後は、現地の金融機関などへ就職し、気づけば13年もオーストラリアで生活をしていました。妻は、偶然にもオーストラリア生まれです。今、お店で出しているコーヒーのコンセプトもオセアニアのコーヒー文化をベースにしているので、オーストラリアとは引き続きご縁があるなと感じています。

南房総へ移住する前は、コーヒー激戦区として知られるようになった、東京都江東区の清澄白河に7年くらい住んでいました。
夫婦共に3人兄弟だったということもあり、将来的に3人以上子どもが欲しいと考えたとき、東京近郊で5人家族がゆったり住むイメージが湧かなかったので、将来的にどこかに移住するんだろうなと漠然と考えていました。

移住を真剣に考えるようになったきっかけは、長女の誕生とコロナです。

コロナ禍でリモートワークができるようになり、住む場所の自由度が広がったのを機に、本格的に移住先を探すようになりました。当時は世界地図を広げて「どこに住もうか?」と妻と話し合った記憶があります。夫婦でルーツのあるオーストラリアへの移住も候補に挙がりましたが、まだ第一子が生まれて間もなかったこともあり、お互いの両親に何かあったときすぐに駆けつけられる距離や、東京ベースの仕事のことを考えた結果、日本国内で移住先を探すことにしました。

◆南房総市に移住しようと思ったきっかけは何ですか

当時は波乗りや釣りができる海の近くで、豪雪地帯ではなく、空港へのアクセスが良いところを条件に、福岡の糸島や、兵庫県明石市、奄美大島などを候補に移住先を考えていました。そんな折にテレビで南房総の特集を目にして、訪れることにしました。

アクアラインを通過し木更津や君津を超え、館山道で南下する道中、大きな山のトンネルを超えて、都会の喧噪から完全に切り離されていく感じが印象的だったことを今でも覚えています。また訪れた時期が5月くらいだったので、広葉樹の新芽が青々と繁り、強い生命のエネルギーを受ける感覚がありました。

【初めて南房総を訪れたとき】

一泊の弾丸旅行で、内房・外房の主要な場所を巡った程度でしたが、生活環境のバランスも良さそうで、海は透明度が高く自然豊かで、東京との距離感も申し分ないと思いました。移住のリスクを考えるよりも、早くここで暮らしたい気持ちが強くなっていき、暇さえあればスマートフォンを取り出し、南房総の空き物件を探すようになりました。

湘南や葉山、沖縄と聞くと、「こういう場所でこういうことができる」といった特徴やイメージがある程度共有されています。一方で「南房総」には、まだ世間的に共通したイメージがあまりないように思います。だからこそ、この町では先入観なく楽しみ方を探すことができ、飽きのこない暮らしを実現できるのではと期待が膨らみました。それこそがこの町の魅力だと思いますし、今後この町のイメージが定着していく過程にも関わっていきたいと考えるようになりました。

◆カフェを開業しようと思ったのはなぜですか

【カフェラテを淹れる水山さんとスタッフ】

土地を購入して家を建てたのですが、購入した土地は当時農地でした。農地を住宅用地へ転用するために、その土地でビジネスをすることが条件だったので、リスクを抑えつつ開業ができ、地元の方や県外の方との接点も増やせる可能性がある職種として、キッチントレーラーでのコーヒー販売を決意しました。

いつかは自分でビジネスをやりたいという思いを、学生時代からずっと持ち続けていましたが、やりたいことや夢はあっても、それを実現するきっかけがありませんでした。何から始めれば良いのかも分からないまま、忙しい日々をただこなすだけの時間が続いていましたが、移住をきっかけに起業できたことで大きな変化があり、夢が叶った感覚を味わっています。

カフェのコンセプトは、人とつながり、地域に貢献すること。売上目標はなく、もし目標があるとすれば、オープン日に一人でも多くの人と接点を持つことです。なので、新規のお客さまに来店いただくと、その日の営業目的が達成したことになります。

【お客さんと一緒に】

現在、南房総で採用した従業員が3名います。採用基準は「南房総とコーヒーが好き」というシンプルなものでした。年齢は幅広く、中にはエスプレッソマシンどころか飲食業の経験すらない方もいましたが、熱心にエスプレッソ技術の習得に取り組んでくれ、今ではマシン操作にも慣れて、美味しいコーヒーを淹れられるようになりました。スタッフ一人ひとりの個性がカフェの個性にもなっており、良いスタッフに巡り合えて、飲食店ならではの醍醐味を知る経験をさせてもらっています。

◆お店の特徴や人気メニューを教えてください

清澄白河にある、ニュージーランド発のスペシャルティコーヒーロースター「Allpress Espresso(オールプレス・エスプレッソ)」のパートナーとして開業しました。スタッフは全員清澄白河のAllpress Espressoでトレーニングを受け、技術習得の基礎学習を経て、お店に立ってもらっています。

【カフェラテとエスプレッソレモンソーダ】

ドリンクは、エスプレッソやカプチーノ、カフェラテ、カフェモカなどがあります。夏には、庭で採れたローズマリーを使用した、エスプレッソレモンソーダが好評でした。今後もドリンク、スイーツともに季節限定メニューを提供していく予定です。

【ボール状のものが「ブリスボール」】

お菓子は分厚くて食べ応えのあるビーガンクッキーや、オーストラリア発祥のヘルシースイーツ「ブリスボール」を全て手作りで用意しています。こちらも季節ごとに商品を考えているので、来店時に今日のおすすめクッキーをぜひスタッフに聞いてみてください。

◆今後の目標ややってみたいことはありますか

地元の学生たちと接点を持ち、エスプレッソの技術習得を支援したいと考えています。理由は、エスプレッソの技術があれば東京に出たときにも働き先への不安が解消でき、表参道や渋谷、青山など素敵な場所で働ける可能性が広がるからです。さらに、そうした場所で出会うお客様とのご縁が、次の展開につながることもあると思います。だからこそ、地元の学生たちの将来のために、この技術を伝えていく取り組みをもっと進めていきたいと考えています。

【エスプレッソの技術】

海外も同じで、例え現地の言葉が話せなくてもエスプレッソの抽出技術が身についていれば、旅の途中でも働き先を見つけることができると思います。

◆起業を検討している方にアドバイスをお願いします

都市部では、新規参入のビジネスが入り込む余地はほとんどありません。そしてその道のプロが展開する場所で勝負しようとすると、膨大なエネルギーと無尽蔵の資金が必要になるでしょうし、きっとやっていておもしろくないと思います。

その点地方なら、やりたいことを形だけでもスタートできる可能性が高いと思いますし、ビジネスをゼロからスタートさせる際の最初の一歩を踏み出すには、地方での起業は理にかなっていると思います。私の場合は、南房総市からの補助金など行政からのサポートも手厚く、また地元住民の皆様が気にかけてくれて、助けてくれたこともあり、すごく良い状態でビジネスに取り組めています。

南房総は、これからさらに来訪者が増え、いっそう賑わいのある魅力的なエリアになっていくと感じています。人を惹きつける力のある地域ですので、今後起業を検討される方にとっても、多くのチャンスがある場所だと思います。ぜひ皆さんとともに、南房総を盛り上げていきたいと思います。

※情報はすべて2025年9月現在のものです。

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